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ディドロの農業論 01 オリエントからギリシアまで(村井明彦)
最近わがゼミでは、水・灌漑と農業・権力の関係が重要なトピックのひとつになっているように思います。これに関して少しまとまったことを書きたいと考えていますが、いきなりでは大変なので、まず準備作業から入りたいと思います。というわけで、今回は『百科全書』からディドロの農業論をまとめます。有名な『百科全書』は、アカデミーの権威に不信感を表明し、情報がどんどん刷新されてゆく時代にふさわしい知識伝達の手法を、というねらいでディドロらが世に出したものでした。ディドロはなんと、それでもすぐ記述が古びるだろうということさえ予測していて、継続的に改める必要を説いていました。『百科全書』はいわば、啓蒙期の書物形態でのインターネットでした(これについては後日改めて報告できると思います)。

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『百科全書』の「農業」の項は、その大半が耕作など農業技術に関わるトピックで占められているため、研究者の関心もそちらに集まりがちなのではないかと思われる。次のような書き出しも、技術としての農業に関心を集中させる要因になっているだろう。

農業 agriculture は、この言葉から充分に理解されるように、土地を耕作する技術である。この技術は、もろもろの技術のうちで最初の、最も有益な、最も普及した、おそらく最も大切な技術である」。――小場瀬卓三・平岡昇監修『ディドロ著作集』第3巻「政治・経済」、法政大学出版局(1989年)の古賀英三郎訳「農業」より(p.48)。ただし以下の引用も含め一部改めている

ここで「この言葉から……」とは、「畑の」を意味する“agri”と「耕作」を意味する“culture”が合成されたこの語のなりたちの説明である。けれども、このあとしばらくディドロが説明するのは、農業技術ではなく、古代の権力と農業の関係である。長くなるが、興味深いので、なるだけ詳しく拾っていこう。まず、農業活動が重要だという意識が神話にどう反映されているかが考察される。

エジプト人は、それを発明したことでオシリスに敬意を表し、ギリシア人はケレス(ラテン系の農業神)とその息子トリプトレモス(アッティカの町エレウシスの王)に敬意を表した。イタリア人はサトゥルヌス(イタリアの農業神)か、彼らの王たるヤヌス(ラティウム初代の王)に敬意を表し、この賜物に感謝して彼らを神々の列においた。農業は、質朴な習俗、善良な魂、そして気高い感情の故にすべての人々のうちで最も尊敬に価する家父長たちのほとんど唯一の仕事であった。それは、古代の他の諸国民のところでもきわめて偉大な人々から深く愛された。小キュロスは菜園の木々の大部分を自分で植えて栽培した」(p.48)。

人間が生きていく上で食べ物を欠かすことはできないが、農業はそれを生み出す活動なので、国で最も偉大な人々に重視され、それを司る王は尊敬を受けたし、主な国ではそれを司る役割をもつある種の神々がいると考えられていた。ラケダイモン(スパルタ)の指導者リュサンドロスは、上記のキュロスの菜園を見てこう述べたという。

おお、すべての人々が、こうしてあれほどの偉大さと尊厳に徳をつけ加えることのできるあなたを幸福に思うに違いない」(p.49)。

共和主義者に共和政の原点をなす理想国家と考えられてきたのがスパルタだが、その将軍がペルシアの農園を見て、共和主義的価値の核にある「徳」を増すものとして農業を讃えている。有徳なる「農業王」のイメージが語られているわけである。続いて、説明の舞台はローマに移る。
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この記事に対するコメント
出来ましたら
この当時の宗教について教えて下さい。アニミズム系なのか?
太陽神とか水神というのもあるかもしれませんね。
【2006/06/26 21:15】 URL | suzuki #jnRiruIs [ 編集]

答え
ローマの神々はあまり一神教的ではなく、東方の宗教に似たものだったと思います。ただ、私は一神教=理性的宗教、アニミズム=非理性的宗教という考え方には反対で、そもそも「アニミズム」という名前自体がひとつの蔑称で、中立的タームではないと思います。近代人にも思いのほか「アニミズム」はある。単なるモノでも、何か「意味」や「意図」を読み取れるものに対して、ふつうの近代人も人格のようなものを認めて生きています。これは哲学畑の人たちも考えていることです。東洋はアニミズムのさきはう未開の地だ、とは、サイードのいう「オリエンタリズム」の一変種でしょう。ただ、宗教論はまた別の機会にやりましょう。
【2006/06/29 21:23】 URL | 村井 #- [ 編集]

ありがとうございます
>一神教=理性的宗教、アニミズム=非理性的宗教という考え方には反対で
 私もこの考え方に賛成です。西洋中心主義に毒されていると思う。
 ありがとうございました。宗教論も楽しみにしております。
【2006/06/30 10:48】 URL | suzuki #jnRiruIs [ 編集]

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【2008/10/28 08:31】 URL | #- [ 編集]

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【2008/10/29 00:23】 URL | #- [ 編集]


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サトゥルヌスサトゥルヌス(サートゥルヌス Saturnus)は、ローマ神話に登場する農耕神。英語ではサターン。ギリシア神話のクロノスと同一視され、土星の守護神ともされる。妻はオプス、あるいはルアとされる。彼を祀る神殿は、ローマのカピトリヌスの丘のふもとのフォルム 神話の世界【2007/10/06 15:30】

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本山ゼミ

Author:本山ゼミ
一番右は、先生著『倫理なき資本主義の時代』巻末で見事に誤植された『ノミスマ』の広告です。でも、実はこれ、そのまんまゼミのプロフィールになってます。ご迷惑おかけします。



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